寄稿・みんなの作品

【孔雀船 95号 詩】  愛しきもの 藤井 雅人

舞妓が歩く

――そう 舞妓さんは歩いてはるんどす

こともなげに 街路のうえを

二十一世紀の思いを煩う人々にまじって


数百年を跳躍して

なにげなく現在(いま)によりそう舞妓

老いた楠のかたわらに立つ時

彼女は木とおなじ齢になる


花簪はいつしか解け

花びらは宙の迷路をたどり

時の川を流れる花筏に舞いこむ


春の花 風 せせらぎ

あらゆる永久(とわ)に愛しきものらと結託して

たち現れる彼女を どのように迎えようか


だらりの帯の揺れの

柳の枝のようなあてどなさを称えようか

しかし どんな無粋な賞め言葉にも

彼女は白くきよらな面を背けるだろう

――舞妓はただの舞妓どすえ と囁きながら


愛しきもの  PDF


【関連情報】

孔雀船は1971年に創刊された、40年以上の歴史がある詩誌です。

「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳

〒185-0031
東京都国分寺市富士本1-11-40
TEL&FAX 042(577)0738

イラスト:Googleイラスト・フリーより

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