寄稿・みんなの作品

【孔雀船 94号・詩】 泉のあるところ 小林 あき

そこは

白い光で

まるく明るいところ

まわりは

深い闇のところ



私の産まなかった子どもたちの

いるところ


広げて干す

なにかの毛皮は

あたたかそう


ひとつ

もいでかじれば

ひと日が

満たされる果実の木もあり


すまいは洞窟

どの子も

岩山のてっぺんを

見あげることはないのです


兄弟姉妹のむれ

長男は父がわりですが

他のむれとの

戦いはなく


長女は母がわりですが

新たな血を求める略奪婚

そのために

さらわれることもなく


原始をくらす子どもたち

産まなかった私としては

洞窟わきの

泉の水に

安堵します


朝と

夕の

ちょっとした雨

そのおしめりも

ありがたいでしょう


私は

庭の

水まきが

おっくうになりつつ

あります


泉のあるところ 小林 あき 縦書き・PDF


【関連情報】

孔雀船は1971年に創刊された、40年以上の歴史がある詩誌です。

「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳

〒185-0031
東京都国分寺市富士本1-11-40
TEL&FAX 042(577)0738

イラスト:Googleイラスト・フリーより

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