【孔雀船 94号・詩】 泉のあるところ 小林 あき
更新日:2019年8月23日
そこは
白い光で
まるく明るいところ
まわりは
深い闇のところ
いるところ
広げて干す
なにかの毛皮は
あたたかそう
ひとつ
もいでかじれば
ひと日が
満たされる果実の木もあり
すまいは洞窟
どの子も
岩山のてっぺんを
見あげることはないのです
兄弟姉妹のむれ
長男は父がわりですが
他のむれとの
戦いはなく
長女は母がわりですが
新たな血を求める略奪婚
そのために
さらわれることもなく
原始をくらす子どもたち
産まなかった私としては
洞窟わきの
泉の水に
安堵します
朝と
夕の
ちょっとした雨
そのおしめりも
ありがたいでしょう
私は
庭の
水まきが
おっくうになりつつ
あります
【関連情報】
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