【寄稿・詩】 いわきの海 = 村山 精二
更新日:2012年01月23日
1949年 北海道赤平市生まれ
日本ペンクラブ 電子文藝館委員会 副委員長
日本文藝家協会、日本詩人クラブ、横浜詩人会・各会員
2010年 日本ペンクラブ国際ペン東京大会実行委員
2009年~日本詩人クラブ60周年記念大会実行委員
詩集・著作は多数あります
いわきの海 村山 精二
小名浜に巨大岸壁が出現したのは
昭和32年
ぼくが木造二階建ての
湯本第二小学校に上がった年だ
常磐線に乗って
おずおず覗きに行った
ボタ山には夕陽
炭住街には同級生の悪ガキの群れ *
禁じられている坑内に入り込んで
板切れに刺さっていた釘をゴム靴で踏み貫いた
小名浜の海の
岩牡蠣を潮で洗って食べたのは
岸壁ができる前だったろうか
もちろん近くに原発ができるずっと以前だ
親父の自転車に弟と載せられ
ガタガタの砂利道を延々と走ってたどり着いた
それからぼくたちは
北海道・静岡と渡り歩いて
神奈川の片隅に住み着き もう40年
フクシマを思い出すこともまれになったが
踏み貫いた傷とともの半世紀
炭鉱はスパリゾートになってしぶとく生き抜いている
ぼくは電気をたくさん使う化学工場の技術屋になって
定年を迎えた
ぼくの右足が癒えることはない
寒い夜には
今でも疼く
* 炭住 炭鉱住宅
炭鉱労働者家族のための社宅
