A040-寄稿・みんなの作品

『今宵、愛のランデブーをあなたと……略して 愛ラブあなた』in Bar・Buttafly

 演劇人の中川真希さん(26?)から、11月30日の夜、『今宵、愛のランデブーをあなたと……略して 愛ラブあなた』というリサイタルの案内をもらった。Bar・Buttaflyは、池袋西口の繁華街から少し外れた、住宅地との接点で、閑散とした場所だった。

(こういう場所をよく見つけたな)
 店の外観は目立たないが、店内iはChristmasの雰囲気が漂う品のよいバーだった。観客は、中川真希さんとほぼ同年代の、20代半ばの人たちが中心。50人強で、補助席を使い、なおかつ立見席も出るほど超満員だった。

 私は運良く席に着けた。左右ともドレッシーな服装で華やかさの漂う女性とともに、その恋人か、ボーイフレンドか、演劇の友人たちだった。

 司会は石川響子さんだ。彼女はPJニュースで、何度か取上げさせてもらった。半年ぶりで懐かしかった。彼女はさすがに上手な司会・進行だった。

 1部は、中川真希さんの活気に満ちた歌と踊りだった。曲目は、「Buttafly」、「name」、「何でも」の3曲。舞台の中川さんは全身で体当たりの演技派。テンポの速い曲では、ふたりのダンサーが華やかさを添えた。ダンサーの佐竹理恵さんは既婚者で子持ち、うのももこさんは未婚で子無し、という紹介があった。舞台いっぱいの敏捷な動きには驚かされた。

 ダンサーと一緒の歌い踊る中川真希さんのイメージどおり。しんみりした曲を歌うと、新たな中川さんの姿を発見した想いで、彼女の奥行きの深さを知った。

 中川真希さんの教え子の、川邊知美さんがオリジナル曲「キミに出会えて……」、「By maself」、「天国は待っていてくれる」の3曲を歌う。初舞台か、緊張ぎみだったが、将来が嘱望される歌い方だ。


 ラスト曲は「Choo Choo TRAIN」で、観客から5、6名の希望者を募り、縦隊でリズミカルに列車を演じてみせた。みな演劇人だろう、舞台での溶け込み方が早い。

 二部は『ぶっつけ本番』という企画。畑内浩さんのギターで、中川さんが歌う。俳優の石川響子さんが、会場から集めた『愛ラブあなた』のメッセージを読み上げる。彼女の声は素敵だ。「愛」のメッセージという、心に響く朗読だった。中川さんの歌とギターとメッセージとの調和。それらが企画どおり、うまく溶け込んでいた。


 中川真希さんはトークショーで、放射能再処理場が抱える問題点、原発の放射能漏れ、チェルノブイリの原発事故による胎児に与える影響などを語りはじめた。明るく華やかな舞台が一転、深刻な熟慮すべき課題として、約40名の観客に投げかけられた。

 彼女はつねに人類の視点で、放射能の人体被害を危惧する。私が中川さんを知ったときから、一貫した信念だ。機会あるごとに、放射能問題を訴え続けている。すばらしい信念の演劇人だと、あらためて強い感慨を覚えた。
                             

『今宵、愛のランデブーをあなたと……略して 愛ラブあなた』のリサイタルの終了後、中川真希さんと石川響子さんには挨拶できた。
 中川さんは1月に舞台があるという。期待したい。
 石川さんからは「穂高健一が来ているとわかりました。穂高さんを見ると、安心するんです」という言葉がもらえた。私の取材記事、インタビュー記事が彼女たちの心と精神の支えの一翼になっているのかな、と思った。

 若い演劇人は艱難辛苦の道を進む。壁が常に付きまとう。今後とも、努力と信念で、目標に向かう若者たちに、私は心から支援していきたい。そんな想いと、「今宵はふたりの活躍を観れた」その心地よさで、深夜の池袋駅にむかった。

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