A045-かつしかPPクラブ

自分史への試み「保育園から高校まで文化的な事がら」(4)郡山利行

【 4.高校生の時 】

昭和38(1963)年4月、中央線武蔵小金井駅下車の、中央大学附属高等学校に入学した。

  写真 = 高校一年 春

 東横線都立大学駅からの電車通学では、渋谷と新宿が乗り換え駅だったので、土曜日の午後は、たいていどちらかの駅で途中下車して、封切り後再上映の映画をよく見た。
 渋谷の東急名画座は、特に大好きな映画館だった。

 3年間担任だった英語の栗原先生は、洋画をたくさん見て、英会話に慣れるようにと、勧めてくれた。

   映画 『 サウンド・オブ・ミュージック 』

『サウンド・オブ・ミュージック』は、ミュージカル映画のとりこにさせられた、映画である。ジュリー・アンドリュースの元気はつらつの歌声が好きで、20回をはるかに超える回数で楽しんだ。
 歌とセリフと字幕文字は、ほとんど覚えたほどだった。



   映画 『 ローマの休日 』

『ローマの休日』は、渋谷の封切館パンテオンの上階、東急名画座で見るのがいちばん心地良かった。 モノクロ画面と単純なコメディ展開が、映画館の気軽な雰囲気に合い、上映していれば必ず見た。

掲載写真 = Googleの写真より

   映画 『 マイ・フェア・レディ 』

『マイ・フェア・レディ』では、ヘプバーンの歌は吹き替えだったが、他の俳優たちの歌と演技が、いかにも大人の世界濃厚で、何回見ても、飽きなかった。

    本 『 戦争と平和 』:トルストイ

 電車通学、往復100分の読書である。 人名地名の混乱を克服するのに、2年かかって読了したが、中身を全く理解し得えていない、とても不思議な長編小説である。
 後年見た、同名の米国とソ連の映画でも、理解できていない。


    本 『 誰がために鐘は鳴る 』:ヘミングウェイ

美しいタイトルの物語である。 映画の方を先に見た。 主演ゲイリー・クーパーのロバート・ジョーダンがかっこ良くて、女優イングリッド・バーグマンが美しい。映画化を先取りしたようなヘミングウェイの作品群の中で、筆者には一番のお気に 入りである。
 

    本 『 罪と罰 』:ドフトエフスキー

 3年生夏休みの、読後感想文宿題の、課題本だった。 最初から陰湿な場面ばかりで、読むのにつらかったが、後半の緊迫した状況展開では、本から目が離せなくなった。後年読んだ野間宏の『 青年の輪 』は終盤で、『 罪と罰 』のようだなと、思ったことがある。


    本 『 天と地の間に 』:ガストン・レビュファ

 2年生夏休み、姉が、北アルプス表銀座ルートを縦走させてくれた。下山後しばらくしてからの日、兄が、「ヨーロッパの登山家って、素敵だぞ」 と、教えてくれたのが、フランスのガストン・レビュファだった。
 

    本 『 アルプス登攀記 』:E・ウインパー

 兄がくれた、エドワード・ウインパーのマッターホルン登頂記である。 登山の本で、この本以上に興味深く読んだものはない。 線描画の挿絵が美しく、読み進む過程で、登山路の休憩所のような安らぎを感じた。


   映画 『 ビルマの竪琴 』

 映画『ビルマの竪琴』 での、水島上等兵の、ひと言も発せず仲間達に、 自分を伝えようとした姿が崇高に思えた。原作以上に、映画を見ての感動で、それまでの自分の、戦争を見る目が、明らかに変わった。


 

  写真 = 高校三年 冬



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