A025-カメラマン

初秋の上高地に魅せられて叙情を写す=(下)

 若者はこころ静かにあすを語り、

 秀麗な山と希望とをキャンバスに描く。


 雲の刷毛(はけ)が、蒼空と穂高連山をなでている。
 
 友とさわやかな想い出づくりに上高地へ。

 同性どうしとて、よき青春旅行だろう。


 、


 童謡の世界から抜けだし、少女は川辺に遊ぶ

 森閑とした緑濃く川は流れ、空飛ぶ鳥の声をしずかに聞く。



 高嶺の連山は湿原のかなたにありて、楽しき一日かな。

 折しも初秋の山風は、心地よく肌をなでていく。


 焼岳の噴火の歴史で、大正池の湖面はつねにかわる。

 いまや、名物の湖水の枯れ立木はなく、あらたな情景をつくりだす。


 雨後の白樺と岳樺が、ともに柔らかな葉陰をつくる。

 小道を歩けば、空気はとても新鮮なりて、こころを弾ませてくれる。

 河童橋はあまりにも有名。

 だれぞ、知ろう。芥川龍之介は、初期の登山家で、槍ヶ岳登山をなんどか踏破している。

 橋を渡る龍之介は、あの名作「河童」をここから生み出した。


 渓谷美では日本一だろう。

 優麗な情感で、いつまでも上高地はこころに残る。

 出逢いも、恋も、人生も、静かにつつみこむ。

 だから、また来たくなる、それが上高地だろう。 

 

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