A045-かつしかPPクラブ

喜ぶ笑顔が見たくて 田代 真智子

まえがき

一度きりの人生をどう生きるかは、人それぞれ違う。
♪ ケセラセラ~ なるようになる~ ♬

この歌が多くの人に好かれるのは、泣いても笑っても明日は来る。それならば、笑って楽しく生きたいと思うからなのか?
十人十色の楽しいひと時を探してみたくて、周囲を見わたしてみた。


 JR京浜東北線王子駅から徒歩15分、北区立中央公園に来た。駅から川沿いの遊歩道を抜け、公園に入るとこんもりした丘の上に3頭の木曽馬が目に入った。大都会の公園にこんな景色が目に入るとは驚きである。

 訪れたのは、『さわやかポニークラブ』というボランティアの定期乗馬会だ。『チップの広場』という丘の上には、小田原のサドルバック牧場の馬3頭がいる。動物学校の先生やインストラクターが、その馬たちの毛並みの手入れをしている。


 遠くには3頭の馬が乗せられてきた青い車が見える。


 この日は、5月の風が心地よく吹いていた。続々と集まってくるさわやかポニークラブのボランティアのメンバー。馬が大好きな人たちが集まって「障がい者に乗馬を楽しんでもらう」活動をしている。準備が終わる頃になると、家族に付き添われて同クラブのメンバーらがやってきた。

 この日は、4クールに別れ、1人の障がい者にインストラクター、リーダー、サイドウォーカー3名の計5名が付いて約40分の乗馬体験をしてもらう試みだ。

 公園の中を歩いたり、ゲームをしたり、その乗り手に合わせたメニューを楽しませてくれる。乗り手の得意そうな表情や嬉しそうな顔を見ていると、取材に行った私まで幸せな気分になってきた。


 途中で馬が糞(ボロと言う)をしてしまうと、手の空いた人が塵取りと熊手に似た道具を持ってきてすみやかに片づける。

木の枝に下げたシフト表を確認する人や全体を見るタイムキーパー。

 お茶とお菓子で談笑するメンバーや家族。乗馬会の様子を見に公園に訪れた人達もいる。自転車を降りて馬が通り過ぎるのを待つ人の姿もあった。
 そしてこの日のすがすがしい風と日差しは、まるで映画やお話しの世界のようだ。そこにいる人たちのやさしさとゆっくり過ぎていく時間に感銘を受けた。
 この日参加した人はみんな、今日を楽しんで幸せな気分で帰ったに違いない。

「次は誰なの?」乗り手をじっと待っている

(青々とした草を見て)早く草がたべたいよ~。

みんなが来る前に水分補給しなくちゃ


 
あとがき

お金をかけた楽しみや時間をかける楽しみなど色々ある。けれど、人ぞれぞれの価値観が違うのだからどれも比べられない喜びである。


(取材・撮影2018年5月20日)

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