鹿児島県・町内4小学校、同じ日に、閉校記念運動会(下)=郡山利行
在校の児童から卒業生徒まで、そのうえ地域の人たちが、校庭のトッラクで、輪になって踊る。小雨だから、走路を荒らさないように、芝生内で踊る。
『 さあ踊ろう!≪おはら節・日吉音頭≫』 は、吉利小学校の伝統的なプログラムである。
参加者全員が、ぴしゃりと踊る光景は、わが目を疑うほどに感動のシーンだった。
保育園児から大人まで順番に、リレー競走をおこなう。微笑ましく競う。
観客席からは「がんばれー」の声援がかけられる。少人数でも、子供は張り切り、楽しく走る。
会場全体が華やかであった。
筆者は、昭和29(1954)年4月、吉利村の隣り村にある日置小学校に入学した。当時の1年ろ組の担任は、大楽(だいらく・現姓:前屋敷)先生である。(写真右端)。
一家だんらんの席で、筆者は先生の家族たちから、ごちそうになった。
地域の大人たちによるリレー競技がへ賑やかさを添えている。一升瓶にどれだけ速く、色のついた水を茶碗で一杯にできるかと競うものだ。
スタッフとして、中学生や高校生が手伝っていた。
子どもたちの目は、一斉に、競技者に向けられている。ふだんは少人数で静かなグランドのだが、子どもらの声援の熱気が『 最後の運動会 』を盛り上げていた。
きょうこの場の一コマずつが、人生の糧になっていくはずだろう。
住吉小学校の校舎の壁いっぱいに飾られた記念メッセージのもとで、全児童が紅白に分かれて綱引き競技をおこなう。
このシーンをじっと見つめていると、目頭が熱くなってくる。
プログラムのほとんどの種目が、児童だけで競技された。
「きみたちは、雨の中の運動会で、よくがんばった」
閉会式の時、校長先生が、頑張り抜いた児童たちを力強い声でほめた。
来年度からは、日吉小学校として生まれ変わる。そこでもしっかり学んでほしい。
きょうの「閉校運動会」は決して終わりではない。明日へ希望へむかう礎(いしずえ)です。
きょうの運動会が、きっと素晴らしい人生の一コマになるだろう。
文・写真 = 郡山利行