「東京アンチモニー工芸品」わが国の伝統的工芸品に(下)=郡山利行
更新日:2015年6月20日
6月19日に、山中治男さん(葛飾区奥戸在住)電話で取材した。山中さんは山中金属加工所の社長で、葛飾アンチモニー会所属である。
山中さんはアンチモニー器の切削仕上げおよびはんだ付けで、平成16年度には葛飾区優良技能士となった。
アンチモニー製品は、メッキ・塗装で完成する。その直前で、地金での製品を完成させる≪まとめ作業≫に、60数年間携わっている。
「アンチモニーが、国の伝統工芸品に認定されましたね、すごいことですね、長年の頑張りが遂に認められましたね」
筆者の祝辞に、電話の向うの山中さんは、多くを語らず、
「ずいぶん速く、電話をくれましたね。そうですね、夢みたいな感じです」
とても朗らかに応えてくれた。
アンチモニーとは、『アンチモン』という金属の英語読みであり、日本では一般的にアンチモン(10~30%)と鉛(85~88%)、錫(すず)(2%)の合金のことをいう。
この合金を溶かして鋳型加工したものを、アンチモニー製品と呼んでいる。
現在でも、半数近くの会社が葛飾区にあり、一大集積地となっている。山中さんはその中心的な人物である。
2015年、経済産業省が伝統的工芸品と指定した「東京アンチモニー」は、鉛、アンチモニー、錫の合金であるアンチモニーを原料として、鋳物製品である。繊細な模様や彫刻を活かした装飾品である。