かつしかPPクラブ

追放、ワルチャリ = 隅田 昭

まえがき

 平成27年春の全国交通安全週間は、5月11日(月)から20日(水)までの10日間で行われた。
 同年5月17日(日)は朝から晴天に恵まれ、葛飾区内の平和橋自動車教習所では、自転車競技大会と交通安全一日開放が実施された。
 東京管内では現在、自転車が絡む交通事故が最も多く、特にマナーの悪い、俗称「ワルチャリ」の走行が後を絶たない。

 信号無視や酔っ払い運転、携帯電話やスマホなどの使用運転歩行者や自動車の通行を妨害したりなどはもっての他だが、一時停止をうっかり忘れてしまうなど、急いでいる時には標識を見落としてしまいがちだ。ただ、それは重大な事故につながると、運転者は肝に銘じて走行する必要がある。

 自転車も道路交通法では「軽車両」なので、運転者や保護者は「知らなかった」、「分からなかった」で済まされない。
 現に、平成20年9月22日の午後6時50分ころ、神戸市で当時小学校5年生の11歳だった少年が、マウンテンバイクで坂を下っている途中に、67歳の女性に正面衝突して意識不明となり、後遺症で寝たきりとなってしまった。

 平成25年7月、神戸地裁は少年の40歳の母親に、「無防備な被害者に対し、少年といえども前方をよく確認すべきだった。母親は日頃から十分な監督義務を果たしていない」との理由で、9521万円もの高額賠償を命じている。


さあ本番、ガンバリます

 午前9時から始まった開会式では、まず警視庁葛飾警察署の担当課長代理から、冒頭の挨拶があった。
「葛飾区内でも自転車絡みの交通事故が多発しており、正しいマナーを心掛けるよう、保育園や自動車教習所などで安全指導をしています。義務付けではありませんが、自転車の事故はヘルメットを着けないで転倒すると、後遺症が残る場合が多いので、警察では着用を推奨します」


 今年の6月1日からは、道路交通法も改定され、信号無視などの危険行為をして、3年間で2回以上摘発された悪質な自転車の運転者に対して、14歳以上で5700円の講習受講料に加え、講習会が義務付けられる。

 続いて、平和橋自動車教習所の佐藤光治所長が挨拶する。

「昨日スーパーマーケットの帰りに、お父さんとお母さんが道を挟んだ娘さんを呼び、車道の信号が青なのに、向かい側から『本当はダメだけど、今日だけは渡って大丈夫なのよ』と教えていた。これは絶対にいけません。今日来られた保護者の方も、正しいルールを、きちんとお子さんに教えてください」


 あぁ緊張した、何位だろう

 午前9時25分から自転車競技大会が実施され、大人や小学生の子供さん達も、緊張の中に真剣な表情で本番に臨む。
 参加人数は30名で、駐車車両の前方通過、S字、スラローム、平均台と続き、競技が終了後の10時25分から、学科テストも実施された。

 競技終了後に、葛飾区在住の後藤美香さんと、その長女で小学校2年生の星奈(せな)さんが、かつしかPPクラブの取材に快く応じてくれた。


「子供が前後に乗るバランスの悪い自転車だったので、想像していたよりも、ずっと難しかったです。S字とスラロームで緊張してよろけたので、足を地面についてしまいました。平均台でも転ばないように、とても神経を使いました」
 愛らしい少女達が、揃いで若草色の制服を着ていたので尋ねてみると、葛飾区のガールスカウトに参加しており、警察署や消防団のパレードに参加し、地域の祭りでよく顔を合わせるので、日頃からとても仲が良いそうだ。

 ミニパトポリス、出動します

 平和橋自動車教習所の土橋裕(ゆたか)さんが語る。
「参加いただいている皆さんは、以前に参加経験のある方が多いので、今回の競技も緊張しないで臨めると思います。
 競技は普段の自転車走行を考えて、横断歩道を注意して渡ったり、車道の狭い部分を走ったりする場合を想定して、内容を考えています。
 自転車は便利ですが、マナーの悪さが目立つので、警察の方とも相談して、2月から4月の繁忙期を除いた時期に、競技や指導を続けたいと思います」


 午前10時45分から表彰式が行われ、400点満点中、小学校低学年は森下友子さんが380点、高学年は宮内陽菜(はるな)さんが390点、大人部門では小貫千鶴子さんが400点で優勝し、それぞれ盾と記念品が授与された。

 11時からは一日開放が実施され、白バイや消防車、都営バスなどに、多くの一般参加の親子や、腕に自信のあるバイクドライバーが集まった。

 警察署のミニパトにはたくさんの子供さんが、大はしゃぎで遊んでいた。


ハシゴ車から見下ろした

 一日開放中に、冒頭で挨拶した平和橋自動車教習所の佐藤光治所長がおられたので、単独インタビューを申し込んだ。記者は三十年ほど前にこの教習所を卒業して以来、無事故無違反なので、お礼も兼ねてご挨拶した。
「少子化が進んでいるので、高齢者や女性の方向けにアピールして、気軽に受講できるよう配慮しています。最近は中高年になって、時間と余裕ができたのをきっかけに、大型バイクの免許を取得される方が急増していますよ」


 自動車はとても便利な道具で、記者もかつては自家用に何台も買い替え、長距離ドライブの国内旅行を趣味にしていた。ただ自動車は、同時に一歩間違うと取り返しのつかない、大事故につながる凶器でもある。
 この大会には多くの子供さんが参加していたので、小さいうちに交通ルールを身につければ、大人になっても交通安全の重要性が意識されるだろう。

 お子さんが白バイやハシゴ車に乗り、楽しそうに話す姿が印象的だった。

あとがき

 平成26年度で葛飾区内の交通事故件数は、1137件で、このうち自転車が絡む割合が突出しており、全体の44.4%にものぼる。
 冒頭で挨拶された、同課長代理が、かつしかPPクラブの単独インタビューに応じてくれた。
「近年は高齢者と子供さんの自転車事故が増えており、それを防止する為に体験型の競技大会を実施しています。今後もこのような競技を通じて親子の絆を深め、ゲーム感覚で親しんでルールを覚えていただきたいですね」


 ドライバー安全教育の際に受講者から、「自転車に乗る人の運転が最も怖いという感想を聞いています」と、同課長代理は語る。
 葛飾区内はたつみ橋交差点が都内で5位、本田広小路交差点が7位と交通量が多く、信号のない裏通りの交差点で、通勤時間帯の事故も多いと聞く。
 交通事故は「いつ、自分が加害者、被害者になってもおかしくない」と、絶えずイメージを膨らませ、いつも緊張感を持つのが何より重要だ。


楽しい思い出、作れました

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