ノンフィクション・08年・学友会 昭和の大学生
あれから何ヶ月が経ったのだろうか。節分、バレンタインー、桃の節句、桜の開花宣言、いまや染井吉野が散りはじめている。1月17日の「学友会」の新年会から約3ヵ月が経つ。
山屋はルーズな男だから、『穂高健一ワールド』に寄稿する、学友会のノンフィクションはまだ書き上げていない。一行も手を付けていないのだ。
「つつじが咲くころだ。どこ吹く風で、いつまで書かないのだ」
元焼き芋屋が執拗に督促する。
「今回の学友会も、写真を消したんじゃないか」
元蒲団屋が疑う。
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「写真は間違いなくある」
山屋のことばに、信憑性はあるのか。普段がふだんだから、まわりは疑う。
「それなら、証拠を示す意味でも、書きなよ」
元蒲団屋は、山屋のほほ被りを見逃さない態度をとった。
「来年といっしょにしたら? 2年の合併記事にしたら」
「だめだ」
「書けばいいんだろう」
「3ヵ月前の記憶がどこまで確かなものか」
山屋が記憶の消滅を良いことに、自分に都合よく、虚構(フィクション)で書かないだろうか。そんな恐れが多分にある。
春の低気圧の通過で、猛烈な風雨となった。八ヶ岳は大荒れだ。登山が中止になった山屋が、ようやく書きはじめたようだ。
