小説家

発売から1か月半の『神峰山』が大きな反響=若き女性の悲哀な人生で、涙が止まりませんでした

 1945年8月15日、終戦、敗戦という言葉だけで、戦争は終わらない。終戦後の悲惨な庶民の生活こそ、「2度と戦争をしてはならない」という歴史的な証言である。5作品の中編小説が収納された「神峰山」のメイン・テーマです。
 戦争が残した非情さ、抗うことができない運命のなかで、瀬戸内の港の遊郭街で、前向きに必死に生きる10代、20代の女と男たち。彼女たちは必死に生きているけれど、結果はとてつもない不幸だったりする。


 ことし(2018年)の11月1日の発売から、実に多くの反響が寄せられています。ご紹介させていただきます。


 【 読 者 感 想 】         


 ☆ 良かった。心に響きました。「初潮の地蔵さま」で泣きました。無念で、悲しくて泣きました。いまの自分(投稿者)の幸せがありがたく、泣きました。「女郎っ子」も、その急展開が、どうしようもなく悲しくて、泣くしかなかった。

 私(投稿者)は、昭和22年生まれで、団塊の世代です。「人の多さ」だけに気を取られて、噛み締めるべき真実の、二面あるはずの裏面が視野に入って来なかった。時代が大きく動いた時の、陰の事実に気が付いていないなことを深く突きつけられました。

 この作品は、映画・ドラマ化するべきです。大きな反響を呼ぶと思います。時代の隠れた面を知ってこそ、歴史といえるのではないでしょうか。

「あとがき」も切り口が鋭く、名文だと思いました。筆者の気迫に押されました。私の三男が広島にいます。神峰山を訪れ、ご冥福をお祈りしたいと存じます。
                     (小坂隆昭さん・横浜)    


 ☆ 現在を生きる私には想像もつかない世界。それでいて、昔も今も変わらないであろう、「女」を生きる女性たちの心。……読み進めるごとに、その悲しみが伝わってきました。特に「初潮のお地蔵さま」の(主人公)絵梨には逃げ切ってほしかった。もっと生きてほしかった。雄太先生(広島商船高校生)との物語を、穂高さんが書いてくださったのに……と(死が)残念でなりません。
                     (神山暁美さん・宇都宮)


 ☆ 装丁が良い。本文活字も読みやすく知的な感じです。広島のみならず、戦後の日本人の悲哀と欲、女性史を学ぶ絶好の一書だと思います。
                    (平木滋さん・広島) 


 ☆ 電車の中で読んでいたら、主人公が悲しくて、切なくて、ハンカチを出して、涙を拭きながら読みました。作中の小学6年生の博が遭遇した「紫雲丸事故」をより知りたくなりました。ネットで調べました。木江南小学校と校名が書かれていました。作中の人物の犠牲者たちが、瀬戸大橋が架かる、大きな要因になったのですね。
 神峰山にぜひ行きたいです。
                    (鷹取利典さん・葛飾区)


 ☆ とてもいい本です。しみじみと心にしみ込んでくる本です。情景が浮かんできて、情緒があって、よい純文学です。男性のなかに、女性が物悲しく語りかけてくるのが美しいです。不条理の世界にこそ、究極の愛があるのでしょうか。
                     (竹内真一さん・広島)


昭和30年5月11日・高松港沖で、紫雲丸海難事故が発生。写真の中央部


☆ 「女郎っ子」が悲しくも胸を打ちました。元女郎の優衣子が選んだ大工は、性の問題で不仲になったけれど、心底から話し合って和解する。ともに心優しい人です。かれは義父の立場で、連れっ子だった「女郎っ子」博少年が不良少年にいじめを受けても、「将来は広島大学、東京大学に行かせてやる、世のなかのためになれよ」と励ます。その場面は感動です。
 少年・少女らが海難事件の紫雲丸事故で、不運にも遭遇してしまう。母親の優衣子が少女の棺を開けて語りかける。小説として、悲しみが昇華した最高の場面です。
                    (城まゆみさん・目黒)   


 ☆ 私の父親は、戦前・戦後、瀬戸内を航行する内航海運の機帆船を持っていました。木江港の「おちょろ舟」の話しは、子どもの頃、父親や船員からなんどか聞かされました。わからないままにきいていました。作品「神峰山」に描かれた女郎の姿が、そうだったのか、と重なってきました。
 当時は焼玉エンジンから、ジーゼルへと変化する時代だったと思います。
                    (東 力秀さん・福岡)


 ☆ 戦後の女性史を静かに語る名作である。確かに、終戦・敗戦という言葉だけでは戦争は終わっていなかった。「女郎っ子」ひとりの少年の心の情景と、その背景を大切に掘り起こして紡ぎ、静かにかつ心底からの「反戦への想い」を綴っている。
 瀬戸内海の離島という自然風景と共に、運命に翻弄された女性たちの生きざまを、リアリティに満ちた描写で描ききっている。
 女性史を学ぶ絶好の小説と思う
                     (アマゾン・カスタマービューより) 


 ☆ それぞれの人生がかなしい。切ない。戦争したのは日本だ。戦後に、どん底に突き落とされたのが庶民だったし、暗い社会でも人間は生きていかなければならない。善悪で読むのでなく、女郎屋の楼主・女将すらも戦後の困窮のなかで生きるために、その職業を選んだとおもう。
「ちょろ押しの源さん」が、若き女郎が亡くなるたびに、お地蔵さまを神峰山の山頂にかつぎ上げる。仏教思想で、死して仏さまになり、苦しみから女性は解放される。書かれていないが軍人は死んで軍神になったと祀られる。死後における『仏』『神』の違いを考えました。
 掲載された5編は、一冊ずつ「神峰山」①~⑤の長編にすれば、よかった。もったいないな、と思いました。若い世代に読んでもらいたい。
 私は神峰山に行ってみたい。
                    (吉武一宏さん・千葉)

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