A030-登山家

シモバシラ観察会=市田淳子

日 時 : 2016年12月29日(木)高尾山口駅9:00集合

メンバー:L栃金・市田 上村、武部、岩淵、中野、開田

コース:稲荷山コース~高尾山頂 11:15~シモバシラ観察 11:30~一丁平 12:15<昼食>~城山 13:10~西尾根コース~相模湖駅着15:15


 シモバシラ観察会を計画したものの、気温が高すぎてシモバシラが期待できないかもしれないという不安があり、稲荷山コースを歩きながら、もう一つの観察会を行うことにした。

 登山の愉しみは、その山の自然を知ること。高尾山は599mという低い山なのに、なぜ登山客を魅了するのか。一言で言ったら、日本で一番小さな国定公園なのに、生物多様性が考えられないほど豊かだということだ。

 高尾山はケーブルのラインの辺りで西の植物と東の植物が出会う。

 さらに沢があることで渓谷林、針葉樹林がある。植物種が豊かということは、昆虫、鳥類等も豊かになる。
 歩き出す前に、稲荷山コースに多い樹種の葉を見てもらい、それぞれの特徴を思うまま述べてもらった。1種類だけは覚えて帰ろう!という同定の目標を持って歩くことにした。

 同じカシでも葉っぱの形、鋸歯(ギザギザ)の様子が違う「シラカシ」「アラカシ」。ドングリを実らせる落葉樹の「コナラ」。鋸歯に特徴があり、薄くて壊れやすい「イヌシデ」この4種は、都内の公園や雑木林にもたくさん生えている。
 そしてもう1種は「イヌブナ」鋸歯の伸び方が超特徴的! 稲荷山コースを歩くと、南側の斜面に照葉樹であるシラカシやアラカシが目立つ。

 その中にコナラ、イヌシデが混じる。そして、なかなか現れなかったイヌブナはかなり上の方に登ると出会うことができた。植物はちゃんと自分の棲む場所を心得ている、というより適した場所で長い時間をかけて進化してきたのだ。
 こんな目を持って高尾山を歩くのもたまには良いものだ。



 さて、肝心のシモバシラ、貧弱ではあるが、何とか私たちの期待に応えてくれた。暖かい日が続いたが、この日の朝は冷え込んだため凍ったのだ。

 枯れた植物の茎から形成される氷の芸術。これを見ずに春を迎えることはできない。自然は人間と比べることができないほどの才能溢れる芸術家だ。

 しかし、この芸術家も温暖化には勝てない。10年ほど前は、「誰がトイレットペーパーをこんなに落としたんだろう?」と思うほど「氷の花」だらけだったのに。そうは言っても、今冬もシモバシラを見ることができた。来冬も変わらず見られますように。

 高尾山頂では顔を見せなかった富士山も一丁平辺りから綺麗に見えてきた。
 ポカポカ陽気の中、ほぼ予定通り相模湖駅に到着。楽しい一年の締めくくりの山行だった。(森林インストラクター)

        ハイキングサークル「すにいかあ倶楽部」会報№209から転載

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