A030-登山家

黒部・下ノ廊下=武部実

 2010年9月30日(木)~10月2日(土)

 参加者 L栃金正一、武部実以上2名

【コース】

 2日目 ロッジくろよん(5時40分出発)⇒下ノ廊下⇒阿曽原温泉小屋(15時40分着)

 3日目 阿曽原温泉小屋(5時00分出発)⇒水平歩道⇒欅平(11時30分着)

【一日目】

 新宿駅7:30発特急「あずさ3号」で信濃大町駅11:01に着いた。
 扇沢までは、バス。そこからトロリーバスに乗り換えて、黒四ダムには13:45に到着した。ダム周辺を少し観光してみたが、雨が本降りになり、明日の天候回復を祈るばかりだった。
 ロッジくろよんには14:40に入る。

【二日目】全員が4:30に起床する。。窓から空を見上げると、これぞ満点の星空だった。ホッとしたのが、正直な気持ち。
 前日にロッジに頼んでいた弁当を食べてから、5:40にロッジを出発する。黒四ダムには6時過ぎについた。丁度、ダムの観光放水が始まるところで、運良く見学することが出来た。

 旧日電歩道の標識にしたがいながら、下って黒部川を渡り、1時間ほどで、内蔵助出合に着く。
 ここらあたりから、岩壁側にワイヤーが付いている。右側は断崖絶壁の幅70~80㎝の歩道が続くこととなる。
 黒部川を見ると、いまだ溶けずに残っている雪がいくつもの自然のスノーブリッジを作っていた。(写真参照)

 歩道はいまだ二ヶ所で、作業員が道の補修工事を実施していた。実際の道は危険な個所もなく、峡谷の絶景を堪能しながら、所どころで、写真を撮ったりして、ゆっくりペースで歩を進めていく。

 歩き始めてから7時間弱で、いくつかの峡谷を通りすぎた。最高の見所十字峡を吊り橋の上から眺め、さらに一時間で半月峡を過ぎた辺り、前方には黒四発電所2棟が姿を現す。

 黒四ダムから、ここ迄水を通して発電しているのだ。さらに一時間弱 歩くと、仙人谷ダムになる。
 登山道はそのダムを渡り、管理棟のドアノブを開けてから宿舎内を通る、不思議な登山道である。
 途中、有名な「高熱隧道」を横切るのだが、2~3m入っただけでも、サウナ状態になる。たしか、岩盤温度が最高で160度になったという。
 戦前に、この作業させられた人たちの苦労がしのばれる。

 宿舎を出てから、すぐにこの道で唯一の急登になる。歩き初めてから9時間後の急な登りは実にきつい。20分くらいで、また平坦な道に戻り、小屋の手前で、今度は急な下り道である。ようやく徒歩10時間で、15時40分に阿曽原温泉小屋に到着する。

 ちょうど入浴時間が男性だから、宿泊手続きをする前に、すぐ入ってほしいとのこと。小屋から歩いて7~8分の所にある野天風呂にでむく。
 旅の疲れに、温泉は最高でした。


【三日目】

 朝5時過ぎに、同小屋を出発する。まだ、暗くヘッドランプをつけた行動である。夜が明けるころには、水平歩道になる。
 こちらの道も下ノ廊下と同じく、岩壁側にワイヤーが張ってあるので、安心だ。折尾の滝に7:50に着いた。ここから一時間弱で、ななめ前方には欅平が望めるようになる。
 そして、このルート一番の絶景ポイントの大太鼓につく。
 絶壁下には、黒部川が前面には数百mはあろうか、という迫力ある赤い岩壁が聳(そび)えていて、迫力満点の絶景である。
 15分で志合谷に、沢の下をくりぬいた登山道唯一の150mあまりのトンネルである。ヘッドランプをつけても、まだ暗く、下は水浸しで濡れるし、頭は天井にぶつけるで、怖くて恐る恐るゆっくりと歩いていく。

 10:40に欅平に到着。トロッコ列車~宇奈月駅~魚津駅~湯沢駅~新幹線と乗りついて帰途につく。

 下ノ廊下は、開通期間が年間のうちで、9月から10月末までの約2ヶ月間に限られている。利用人数は2千人弱ということらしい。
 わずかな登山者しか、せっかくの絶景を見ることができないのは、本当にもったいない話だ。
 皆さんも、来年あたりに挑戦してみてはいかがでしょうか。


     ハイキングサークル「すにいかあ倶楽部」会報№134から転載

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