A010-ジャーナリスト

北朝鮮はことし2度の核実験。歴史から学べば、「経済封鎖は逆行なり」(上)

『歴史から学ぶ』
 それは現在の事象に対して、将来への予知、予測ができる洞察力を磨くことにもつながる。

 北朝鮮が今年度(2016)において2度も核実験を実施した。片や、ミサイル開発も進んでいる。この先、どうなるのか。評論家はメディアに出て、あれこれ言うが、推論ばかりで不透明だ。

 3年後、5年後、10年後の歴史学者や歴史作家、歴史マニアたちは、きっと
「北朝鮮は、2016年に2度も核実践を実施したのだから、当時の為政者は当然、こうなると予測できたはずだ」
 と見解を示すだろう。

 過去ならば、誰でもなんでも言える。

 ペリーが来航する1年前に、長崎のオランダ商館長から、アメリカ艦隊が来航すると、かなり具体的に予告されていた。ところが、老中首座の阿部正弘は、なんら手を打たなかったといい、ブログなどで、偉そうぶって批判する歴史通が多い。

 こうした人は教科書や作家のことばを真にうけて、それを既成事実とする。およそ独自の検証などないまま、歴史的批判をおこなう。当人は歴史好きでも、洞察力など養えない。


 阿部正弘は評定所に計り、幕閣ともども協議している。当時のオランダ情報はとかくガサ・ネタが多かった。鎖国の日本では、他国から裏付け情報が取れない。
「ペリー来航は本当か、うそか」
 もしもガサネタなのに、真にうけて厳重警戒すれば、現在のお金に換算しても、数十億円の出費がかかってくる。幕府には財力に余力がない。そこで、
 東京湾の入り口の浦賀周辺や、房総半島に、彦根藩と川越藩を張り付けるていどにとどめた。

 それをもって、阿部正弘には危機意識がなかった、という。歴史は後からならば、なんとでもいえる。

 自称・歴史通は、太平洋戦争の直前、アメリカは日本軍の無線を傍受して解析していたという。だから、パールハーバーの攻撃は、すべて筒抜けだった。それは事実だろうか。
 膨大な数の情報のなかに、事実が混ざっていても、的確に一つを事実認定できるのは至難の業だ。ましてや、司令長官がそれを迷いもなく作戦計画に落とし込むのは……。

 かりに、仮想敵国・日本の攻撃情報が特定できていたとすれば、自国民の兵士や家族に待避警告を発するだろう。隠しきれるものではない。
『一人が秘密を喋れば、7人に知れ渡る』
 
 真珠湾攻撃は筒抜けだった、と信じる方には、
「2016年に、北朝鮮が2度も核実験した」
 北朝鮮は〇年〇月〇日に、いずれの国にミサイル攻撃をしてくる、という予言者がでたら信じますか、ということばを返したい。

 世界中のどの国でもスパイ活動をやっている。アメリカからの情報、韓国、中国、北朝鮮の側近筋の情報、むろん日本の内閣府からも、核実験にたいする情報が入り乱れているはずだ。
 数十万、数百万の情報から、
『事実は一つ』
 その一つだけを取捨選択し、的確に言い当てられる人がいるだろうか。

 評論家の多くは、アメリカ、中国、ロシアなど軍事パワーバランスで今後の展開予測を語る。しかしながら、朝鮮の軍事歴史から、考察、洞察して語るひとが少ない。
「歴史から学ぶ」
 この王道の格言から、北朝鮮の今後を語っていくべきである。

                                       【つづく】

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