A010-ジャーナリスト

戦争が子どもらにどう影響するか = 世界報道写真展2016

 リニュアルした東京都写真美術館で、9月3日(土)から『世界報道写真展2016』が開催される。主催は世界報道写真財団(本部・オランダ)、朝日新聞社である。10月23日(日)まで。

 世界のプロ・ジャーナリストから約6000人、8万3000点を超える応募があり、その中から、大賞など選ばれた150点の入賞作品が紹介・展示されている。

 昨年(2015年度)は、難民がテーマになった。どうして、祖国から出たくなるのか。戦争が、どう子どもたちに悲惨な状況を醸し出しているか。

 報道記者たちは密着取材で、それを世に伝えている。

 今年の「スポットニュースの部」の大賞は、オーストラリアのウォーレン・リチードソンさんで、シリア難民の男性と子どもが、国境の有刺鉄線を越える瞬間を写し撮っている。

 警備隊に見つからないように、フラッシュなし、月明かりのもとで撮影されている。生死を分ける、強い緊張感が読み取れる。

 他にも、オランウータンの愛らしい子どもたちが展示されている。主催者の解説によれば、約10頭それぞれ母親がいない孤児です、と教えられる。とたんに、哀れになってくる。

 日本人カメラマンも、入賞している。チェルノブイリ原子力発電所事故の犠牲者を追う、組み写真である。

 主催者の世界報道写真財団によれば、世界中の100か所以上で、展示会をするという。

 こんかいは、大怪我の民兵クルド人がベッドに横たわり、医者の手当てを受けている写真が入賞している。ドクターの背後には、トルコが反社会運動主義者だと認定している人物のポスターが貼られている。


 トルコ関係者から、世界報道写真財団に、同国内の展示会では、その写真を外してほしい、と要請があった。
「私たちは、いかなる写真も外さない」
 と拒絶した。
 それで、トルコ国内の展示会はなくなったという。

 ジャーナリストたちは命をかけている。写真を通して、戦争の厳しさ、つらさを世に報じている。同財団は、政治圧力に決して屈しない、と強く打ち出したもの。その判断は高く評価し、賞賛したい。


【関連情報】

東京都写真美術館t
 
 観覧料は一般800円、学生600円、中高校生および65歳以上は400円である。

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