A040-寄稿・みんなの作品

【孔雀船Vol.92】 ひさしぶり=中井ひさ子

羽音がした

ごきげんさんと声がかかった


カラスごときに知り合いはない

耳の底がうごく

奇妙な懐かしさが

にじんでくる


会ったことあるか


子どもの頃か

いや

もっともっと


なみだつ向こう

おぼろな 

ひかりのなか


目と耳だけで話したな

抱えていた思い


宙にういていたな

いちにのさんで飛び降りた


カラスになってどうだった

トカゲとイモリが怖いねん


人の暮らしはどうなんや

人ってあんがい怖くって


【関連情報】

孔雀船は1971年に創刊された、40年以上の歴史がある詩誌です。

「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳

〒185-0031
東京都国分寺市富士本1-11-40
TEL&FAX 042(577)0738

    イラスト:Googleイラスト・フリーより

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