A040-寄稿・みんなの作品

【孔雀船より】 剛太郎 ラップミュージック・フリースタイル

お袋なんてくそくらえ
俺がどう生きようと俺の自由 
俺の人生
明日は明日の風が吹く
明日は明日の陽が昇る
あっちにぺこぺここっちでへいへい
仕事仕事とで骨身すり減らし
気がつきゃ爺(じじい)なんてまっぴらごめん 


剛太郎は今日ものりのりで歌っている 
ご近所迷惑犬の遠吠えもなんのその
憲兵に連れて行かれるわけでもなく
刑務所に閉じこめられるわけでもなく

世間なんてなんぼのものじゃ
俺に金をくれるじゃなし
食い物くれるじゃなし
朝から晩まで汗水たらし冷や汗かいて
ホームレスって生き方もあるんだぜ
野垂れ死なんてのもなかなかイカシテルじゃねえか 


剛太郎は夜中から明け方まで
息もたえだえ
青息吐息でギブソンのギター・レスポールをかきならし
思想犯としてマークもされず
天井から逆さ吊りにもされず


しょせん人は孤独なんだよ
旅先だろうと戦場だろうと
死ぬ時ゃ一人ぼっちさ誰だって
生きるか死ぬかなんて
時の運天のさだめ
人生はきまぐれ出たとこ勝負 


剛太郎は溺れかかっているのだろうか
すきっ腹のはずはないし 
首も吹っ飛ばされていないのに
あんなに叫びがなりたて 
あんなに手脚をふりまわし


ごぎぶり一匹も殺せぬいくじなし
蜘蛛の子さえ逃がしてやる浪漫派
得体のしれぬ何かにがんじがらめにされると
怯えているのだろうか

                 
           イラスト:Googleイラスト・フリーより


【関連情報】

孔雀船は1971年に創刊された、40年以上の歴史がある詩誌です。

「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳

〒185-0031
東京都国分寺市富士本1-11-40
TEL&FAX 042(577)0738

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