A040-寄稿・みんなの作品

【寄稿・(孔雀船)より】 どこですか 坂多瑩子

こんなもん
といったらどんなもんといわれた
その相手が長靴をはいたネコだと
つぶやいたら
靄がたちこめて まわりが見えづらくなったけど
それから青空になって
夜がこない
乗り慣れた電車に乗っても見慣れない風景がひろがり
終点で降りたら
電車はさっさかどこかに行ってしまった
橋を渡ると
店があるからガラス戸をあけると
クレンザーにネギに
木綿豆腐に
スコップがたてかけてあった

親戚いっぱい 家族いっぱい
いっぱいはいらないとカミサマにお願いしたのは
いつのことだっけ

あっ違う

だれもいないから
お金持ちのおじさんとか
やさしいお父さんにお母さん
ほしいほしいとカミサマにお願いしたのは
いつのことだっけ

長靴をはいたネコの洋服がぼろぼろ
あたしのセーターもほつれてきた
ー駅はどこですか
山のむこうと教えてくれた
山のむこうを見ても山しかない

イラスト:Googleイラスト・フリーより

【関連情報】

孔雀船は1971年に創刊された、40年以上の歴史がある詩誌です。

「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳

〒185-0031
東京都国分寺市富士本1-11-40
TEL&FAX 042(577)0738

イラスト:Googleイラスト・フリーより

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