【寄稿・(孔雀船)より】 どこですか 坂多瑩子
更新日:2018年2月19日
こんなもん
といったらどんなもんといわれた
その相手が長靴をはいたネコだと
つぶやいたら
靄がたちこめて まわりが見えづらくなったけど
それから青空になって
夜がこない
乗り慣れた電車に乗っても見慣れない風景がひろがり
終点で降りたら
電車はさっさかどこかに行ってしまった
橋を渡ると
店があるからガラス戸をあけると
クレンザーにネギに
木綿豆腐に
スコップがたてかけてあった
親戚いっぱい 家族いっぱい
いっぱいはいらないとカミサマにお願いしたのは
いつのことだっけ
あっ違う
だれもいないから
お金持ちのおじさんとか
やさしいお父さんにお母さん
ほしいほしいとカミサマにお願いしたのは
いつのことだっけ
長靴をはいたネコの洋服がぼろぼろ
あたしのセーターもほつれてきた
ー駅はどこですか
山のむこうと教えてくれた
山のむこうを見ても山しかない
イラスト:Googleイラスト・フリーより
【関連情報】
孔雀船は1971年に創刊された、40年以上の歴史がある詩誌です。
「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳
〒185-0031
東京都国分寺市富士本1-11-40
TEL&FAX 042(577)0738
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