A040-寄稿・みんなの作品

来年度で歴史の幕が閉じる、住吉小学校(鹿児島県)の大運動会 :郡山利行

 2016(平成28)年9月25日(日)に、鹿児島県日置市立住吉(すみよし)小学校の運動会が開催された。

 同校は創立125周年の長い歴史をもつ。来年度を最後として、統合によ.り、その歴史に幕が下ろされる。

 地元の山から切り出された、銘木「杉の木」の枝で作られた入場門がひと際は目立つ。運動会の前日に、学校職員、PTA、地域の人たちの手で、製作されたものだ。

 その入場門には、小学校児童たちの手作りの手旗が数多く飾られていた。運動会への深い想いのメッセージが綴られていた。


 本部テントの前では、成田浩さん(69)が、≪放送係≫として、プログラムのひとつを実況中継していた。その成田さんと筆者とは同年の友人である。

 ちなみに、筆者が学んだ小学校は約2kmほど離れた、隣の小学校である。


 住吉小学校の全校生徒は、29名である。

 男子の全校児童による「赤組白組対抗のリレー競走」がおこなわれた。


 少人数なので、小学生たちの競技はあっという間に終了した。



 ソメイヨシノは、30年以上も万国旗を飾り続けてきた。

 かつて何百人もの児童たちを、見守ってきた桜の木である。


 成田さんは、日置市のこの住吉地区で生まれて育った。

 現在は日置市の市会議員であり、同議会の議長である。


 母校・住吉小学校の運動会の歴史について、それはそれは、熱く語ってくれた。



 午前の部のフィナーレは、華やかな家族・親類の対抗リレーである。小学生から、同校を卒業した中学生、さらに大人まで、親きょうだい親戚らが一つのチームとなった。
 
 3人、4人、5人の編成別でレースが開始された。


 リレー競走のさなかは、会場の観客全体が盛り上がる。

『○○ドンの(○○家の)、○○ちゃーん、きばれー(頑張れ)!!』

 バトンを渡したひと、受けた人、みんなの笑顔が美しい。


 走路の円形コーナーには、杉の小枝が地面に差し込んである。

 来年入学予定の、就学前幼児たちによる、リレー競技のような、かけっこがはじまる。走るのを嫌がっている子どもがいる。これも年齢的にごく普通のことかもしれない。

 見るかぎり、この炎天下でも、多くの幼児は平気で100mも走り抜いていた。



 小学校と児童家庭と地域とが、まさに完全に一体となっている運動会である。

 終了と同時に、銘木「杉の木」の枝で作られた入場門(冒頭の写真)が、静かに片づけられた。

 あと1年と思うと、どこか淋しさがつのる。

 来年も、がんばろう。


                     写真・文 郡山利行(かつしかPPクラブ) 

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