A040-寄稿・みんなの作品

【孔雀船】 世界にただひとりの君へ = 文屋 順   


この広い世界に

私の知らない人が沢山いる

今どこかで

病に苦しんでいる人

今遠いところで

大切な人を亡くして

悲しみのどん底にいる人

人生の途中で

愛する人とめぐり逢い

喜びの真ん中にいる人

でもみんな同じ人間だから

誰でも幸せになるチャンスがあり

その人生を全うする役割がある

どうかそんなに苦しまないでください

どうかそんなに喜ばないでください

何をしていても

何を思っていても

何を話していても

誰の心にも届かない日

みんな空しい夢に過ぎなかった

私の隣の誰か

そうこの世にたったひとりの君よ

涙を流したら

ちゃんと拭いてください

遠いところへ

いずれ私たちは行かなければならい

今日あるいは明日にでも

身軽な空間から

重厚な空間へと

バースデーケーキを食べつくし

悪魔の囁きに耳を貸さず

明るい日と書く日に向かって

しっかり踏み出して行くのだ

一億のすべての光を通して

何気なく見上げた青い空の下

クールビズの今日の余白に

水の匂いを求めている

もう一人の自分がいる


【関連情報】

世界にただひとりの君へ * 縦書き : PDF


「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳

〒185-0031
東京都国分寺市富士本1-11-40
TEL&FAX 042(577)0738

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