【孔雀船】 世界にただひとりの君へ = 文屋 順
更新日:2016年8月29日
私の知らない人が沢山いる
今どこかで
病に苦しんでいる人
今遠いところで
大切な人を亡くして
悲しみのどん底にいる人
人生の途中で
愛する人とめぐり逢い
喜びの真ん中にいる人
でもみんな同じ人間だから
誰でも幸せになるチャンスがあり
その人生を全うする役割がある
どうかそんなに苦しまないでください
どうかそんなに喜ばないでください
何をしていても
何を思っていても
何を話していても
誰の心にも届かない日
みんな空しい夢に過ぎなかった
私の隣の誰か
そうこの世にたったひとりの君よ
涙を流したら
ちゃんと拭いてください
遠いところへ
いずれ私たちは行かなければならい
今日あるいは明日にでも
身軽な空間から
重厚な空間へと
バースデーケーキを食べつくし
悪魔の囁きに耳を貸さず
明るい日と書く日に向かって
しっかり踏み出して行くのだ
一億のすべての光を通して
何気なく見上げた青い空の下
クールビズの今日の余白に
水の匂いを求めている
もう一人の自分がいる
【関連情報】
「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
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